朝、ホテルを出て、まず向かったのは小田原駅近くの案内所。
箱根に行くなら使いたいと思っていたのが、箱根フリーパスだった。
事前に調べてはいたけれど、現地で直接聞けると安心する。
しかもこの日は、朝の時点でロープウェイの一部が休航しているらしい。
「遠回りになりますが、バスで桃源台まで行けますよ」
案内所の方にそう教えてもらって、予定を少し変えることにした。
予定通りじゃない旅は、最初はちょっとだけ不安になる。
でも、行けないよりずっといい。
そう思って、バスに乗り込んだ。
バスに揺られて山の中へ進むと、窓の外の景色が少しずつ変わっていく。
遠回りの時間って、焦るとただの移動になるけれど、
今日は「旅の時間」として受け取ってみた。

桃源台に着くと、ロープウェイが動いていた。
「乗れる」って、それだけで気持ちが軽くなる。

思っていたより混んでいたけれど、30分くらいで乗れた。
扉が閉まって、ふわっと浮く感じ。
ロープウェイは想像以上に速くて、ぐんぐん高度が上がっていく。
景色が一気に開けて、山の輪郭が少しずつ遠くなる。
近づくにつれて、硫黄の匂いがふわっと混じってきた。
大涌谷に到着。
この日は雲ひとつない快晴で、寒さと強い風はあったけれど、
その分、景色は澄んでいた。


地面から立ちのぼる白い煙。
硫黄の香りがふわっと広がって、
「今、火山の近くにいるんだ」と体が理解する。

風は強くて手がかじかむのに、空はとても青い。
その奥に、富士山がくっきり見えていた。
寒ささえ、今日はご褒美みたいに思えた。
絶対に食べたかったのが、黒たまご。
寿命が1個で7年伸びると言われているらしく、
私は2つ食べたので、14年分。
単純だけど、そう思えただけで気持ちがハッピーになる。
明日もちゃんと生きられる気がする。


この日は、午後3時か4時には宿に着きたいと思っていた。
だから長居はせず、帰り道へ。
ロープウェイとケーブルカーを乗り継いで、箱根湯本へ向かった。
遠回りだったけれど、ちゃんと辿り着けた。
旅は、予定通りに進まないことも多い。
でも、その場で選び直した道の先に、
思っていた以上の景色があることもある。
箱根フリーパスと、少しの判断。
この日の旅は、それでうまくいった。
ロープウェイの浮遊感や、大涌谷の空気は、動画のほうが伝わりやすいかもしれません。
移動の一部は、YouTubeにまとめています。よかったら、気分のいいときに。
今日も一息、どうぞ。
— siro

